50代男性、会社に残るか、退職をした方がよいか迷っています

今回は50代の会社勤めの方からのご相談を取り上げたいと思います。 Aさんは50代後半の会社勤めの男性で子供を含めて家族3人で暮らしています。 Aさんが勤める会社ではコロナによって業績不振が続き、今年に入ってから50代以上の職員を対象に早期退職を募るようになりました。この制度で早期退職の対象になるのは、100人に近い人数ということです。 募集期間は今年の6月まで、早期退職をすると7月の夏の賞与は支給されないのですが、代わりに退職金の上乗せが行われるという説明が会社からありました。 現在58歳のAさんには仕事上の悩みがあり、最近は職場に行く足どりも重くなっています。 仕事上の悩みとは、仕事のやり方が以前と変わったことでその対応に追われ、ストレスを抱えていること。また少し前から異動を打診されているので、そこも気がかりになっています。 Aさんからこの早期退職制度を利用して、退職し早めに第2の人生を迎えた方が良いのか、ご自身の判断に自信が持てないということでご相談を受けました。 このようなご相談は最近特に多くなっていると思います。 最終的にはAさんご自身の決断となるのですが、退職をした方が良いかを判断する材料としてのお金の面について3つの視点から考えてみたいと思います。


まず最初に見るべきところとして、住宅ローンや車のローンといったローン(これを借金と位置付けます)があるかどうか、ある場合は残りがどのくらいかという点です。 例えば住宅ローンを組んで日が浅く、残金が2千万円、3千万円あるといった場合にはまずその支払いをどうするかということを考える必要があります。 例えば退職金でこのローンを賄おうとすると、退職金がこのローンですべて消えてしまい全然残らないということも十分に考えられます。 ある程度の貯蓄があり、家に万が一というときのお金や、いざというときの医療費などにも十分に対応できるということであれば、その分リスクは軽減されるでしょう。 Aさんのお宅は20年前に購入し、現在のローン残高は1千万円を切るのですが、退職金で残額を支払ったとしても手元に1千万円近くが残ります。そして車のローンも月々ありますが、今ではあまり乗る機会がなくなったので成人したお子さんに譲ろうと考えています。その場合は税金や車検の支払いもお子さんの方に委ねることになりますので負担が減る予想です。

また貯蓄も500万円以上ありますので、早期退職し別の形である程度の収入が得られるのであれば、早期退職を考える判断材料の一つになると思います。 このようにローンがあったとしても、退職する時点でそのローンが完済できるような入金や貯蓄が十分にあり、その後の生活でいざというときに対応できるお金が十分にあるということもチェックポイントになります。 次に考えるポイントは、これから2~3年、場合によっては5年程度の短期間にまとまったお金が必要になるかという点です。 この場合一番に考えられるのが、お子さんの教育費です。 例えばお子さんがこれから高校に進学する、あるいは大学に進学する場合、まとまった教育費が必要になります。入学金や授業料だけではなく、住まいの場所や受験する学校数などにもよりますが、受験料や受験に際しての交通費、宿泊費などもある程度かかりますので、そういった費用も含めて確保できているかを考えてみましょう。 教育費は確保できている、あるいはお子さんが成人している場合は、住宅のリフォームなど他にかける費用が発生しないかを考えてみましょう。リフォームの場合は、家の体裁ではなくて、リフォームを先延ばしにすることで健康面や安全面に影響しないかという点で考えてみるのが良いと思います。


最後に考えるポイントは、早期退職後の生活設計がきちんとできているかです。 コロナが発生する以前と比較して50代後半の再就職は厳しくなっています。男女含めた有効求人倍率も低下しています。このような状況から考えると、希望職種での再就職はもちろんのこと、職にありつけるかどうかについても容易ではない可能性があるということを頭にいれておきましょう。 例えば以前から誘われていた知り合いの会社に雇用されるとか、アルバイトなどである程度の収入が見込めるという場合や、副業程度に始めていた自身の仕事を本格的にやってみるなど、仕事や収入を得る目途があるのかどうかも、判断材料になると思います。 また同時にご家族、この場合は配偶者の収入状況も判断材料になります。 配偶者が継続的に一定の収入を得ている場合、その収入で家計の何割を負担できるのかということも考えてみると良いでしょう。例えばご主人の再就職に伴って、一時的に収入が減る場合も考えられますから、そのような時に配偶者の方でも家計の一部を負担できるのかということを知っておくのも大切なことです。 また配偶者が専業主婦で収入の見込みがない場合は、夫婦でこれから先の生活をどうしたら良いかを2人で話すのが大切になるでしょう。 早期退職を決断する際のポイントには、上記のようなものが考えられますが、一番大切なことはご相談者本人がこの先どうしたいかという意思や考えを明確にすることです。 自分の気持ちを脇に置いてお金の面だけで考えると後悔する原因にもなりますから、先ずはご自身がどうしたいのか、ご自身の気持ちと向き合うことが一番大切です。 お金の面にじっくり取り組むことで、リスクを減らし、安心して第2の人生に向き合うことができればよいと思います。